あやなりBP

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2023年7月掲載
岩崎 夏子 さん

岩崎 夏子 さん

(文教大学付属小学校/6年)

「強くなりたい」の思いを胸に各地へ遠征

 2022年、第13回小学生駒姫名人戦「名人クラス」で日本一となった岩崎夏子さんと将棋との出会いは、保育園にさかのぼる。どうぶつしょうぎに夢中になり、小学校に入学すると母親のすすめで近くの将棋教室に通うことになった。そして3年生に進学した直後、新型コロナウイルス感染症拡大により学校が休校。外出できないことからインターネットで将棋をやるようになったのが、「強くなりたい」気持ちに火がつくきっかけとなった。
 対局を多く経験しなければ強くはなれない。小学生対象の大会だけでなく、アマチュア女流棋士が全国から集まる大会にもエントリーし、休日は各地で開催される大会に出場した。「負けるとクソーっと思う」悔しさをバネに将棋に取り組む日々でも学校の勉強をおろそかにはせず、「成績も優秀です」と島野歩校長先生も太鼓判を押す。加えて先生はこんなエピソードも披露してくれた。
 「去年男子児童が2人、付属小学校として初めて『学校法人文教大学学園スポーツ・学術優秀功績者』に選ばれたのですが、岩崎さんが『どうして私じゃないのですか?』と言いに来たんです。彼女は学業と将棋、どちらもがんばってきましたから、素直に不思議に思ったのでしょう。改めて、真っ直ぐで、純粋なものを持っているなと感じました」
 もちろん2022年度の功績者には、岩崎さんが選ばれた。

藤井聡太棋士のように注目される女流棋士に

 将棋のおもしろさは?と岩崎さんに問うと、「考えること」と答えてくれた。対局の3手先を読むのは当たり前、その先7手くらいまでは読めるように意識していると言う。まだ見えない先の局面を読み、勝負を組み立てていく力は、3年余りの実践を通して身につけていったのだろうか。
 「1、2年生は、すごくがんばって勉強したんです。特に算数をしっかりやったので、自分で考えて答えを導き出す力は身についていたのだと思います。一局ごとに考え、新しい局面を考え出していくのがとても楽しいです」
 しっかり自己分析ができているところはとても大人びて感じられるが、普段は校長先生やクラスのみんなに“なっちゃん”の愛称で呼ばれ、甘えん坊の一面もある人気者。いま将棋以外では音楽に「ハマって」いて、「『なにわ男子』の大橋くんが好きです」とはにかむ姿は、普通の小学生と変わらない。
 プロになる覚悟を決めた今春、「藤井聡太先生のように注目される女流棋士になる」と将来像もしっかりと持った。これから小学校最後の大会に臨み、そしてプロへの道の足がかりとなる研修会、奨励会への入会を目指している。

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    • 岩崎 夏子 さん
    • いわさき なつこ
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