あやなりBP

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2023年7月掲載
宮田 沙那 さん

宮田 沙那 さん

(文教大学付属高等学校/2年)

自分の持てる力のすべてを、この一瞬に注ぐ

 わずか5秒で勝負が決まるというビーチフラッグス。この競技、海で救命活動を行うライフセーバーたちが、レスキューに必要な救助技術や体力向上のために行うライフセービングスポーツの中の一種目である。砂浜にうつ伏せの姿勢から立ち上がり、20m先に立つフラッグ目がけて走る。フラッグの数は走者の数よりも少なく、最後は2人で1本のフラッグを競い合い勝者が決まる。人の命を救うためにもっと早く、もっと的確に…こうした思いを胸に選手たちは練習、そして競技に励むのだ。
 宮田沙那さんとライフセービングとの出会いは4歳のとき。叔母が湘南ひらつかライフセービングクラブで活動していたことがきっかけだ。最初はライフセーバーのお兄さん、お姉さんに海で遊んでもらうことが楽しくてしかたがなかったが、やがて海で救命活動を行う姿に憧れをいだくようになった。
 小学3年生からはビーチフラッグス競技に参加。2021年、中学3年生の時には、全日本ユース選手権大会U15(15歳以下の大会)で3位となった。
 「5秒で勝敗がついてしまうので、自分の持てる力のすべてを一瞬で注ぎこめるかどうか。それが魅力でもあり、難しい点でもあります。瞬発力、走力、集中力、作戦の駆け引き、運、すべてがそろわないと勝つことができません。そして最後は自分との勝負ですね。小学生の頃は負けると悔しくてよく泣いていました(笑)。いまはフラッグを取られた相手を素直にすごいなと思うことができますし、負けた試合を振り返り練習に生かせるようにもなりました」

自分が強くなって人の命を守りたい

 練習はライフセーバーとしての鍛錬が基本的な内容である。砂浜を走る、ボードで海を泳ぐ、レスキューのシミュレーション…。土曜・日曜日の練習に加えて、8月の1ヶ月間は海でライフセーバーとして過ごす。
 高校生になって実際に海で救命活動を行うことのできる、ベーシック・サーフライフセーバー資格も取った。競技の先にあるのはやはり「人の命を守ること」。世界の舞台へという目標も掲げ競技は続けていくが、まずは競技を通じて観客がライフセービングスポーツを楽しんでくれたり、ライフセービングの活動を知るきっかけになったりすればいいと思っている。
 「所属している湘南ひらつかライフセービングクラブで過ごす中で、仲間と支え合い、人と自然との関わり合いを学び、命の大切さを感じ、今の活動があります。自分の命は自分で守ると教えられたジュニア時代を経て、いまは自分が大切な人を守りたい。自分が強くなって人の命を守りたいと思っています」

全日本ユース選手権大会U15(15歳以下の大会)で3位

  • 全日本ユース選手権大会U15(15歳以下の大会)で3位
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