【特集】全国の校友に会いに行く in 北海道
日本各地にいる卒業生を訪ね、地域に根ざした暮らしぶりを聞きながら、地元のいいところ、おいしいものを紹介してもらう企画です。第二弾は北海道。校友のおすすめを巡って、北海道を旅してみてはいかがですか?

日本各地にいる卒業生を訪ね、地域に根ざした暮らしぶりを聞きながら、地元のいいところ、おいしいものを紹介してもらう企画です。第二弾は北海道。校友のおすすめを巡って、北海道を旅してみてはいかがですか?
女子7人制ラグビー日本代表「サクラセブンズ」の一員として、2024年のパリオリンピックに出場した三枝千晃さん。世界を舞台に戦う現在の姿からは想像しにくいが、ラグビーとの出会いは偶然だった。
東京都で育った三枝さんは、中学時代はバスケットボール部、高校では陸上部に所属し、短距離と砲丸投げに取り組んだ。身体能力には自信があったものの、当時はラグビー選手になる未来など想像もしていなかったという。転機は高校3年生の時。体育の授業にラグビーがあったのだ。初めて楕円球を持ち、タックルを経験した瞬間、「もう楽しくて仕方なかった」と振り返る。コンタクトへの恐怖はなく、むしろ自分に向いている感覚があった。
幼い頃から、将来は教員になりたいと考えており、教育学部のある文教大学へ進学した。その一方で、ラグビーをやりたい気持ちは衰えることなく、本格的にラグビーをやってみようと、キャンパスのある埼玉県内でクラブチームを探し、女子ラグビーチーム・アルカス熊谷へ加入した。
「埼玉県内なら近いだろうと思っていたんですけど、越谷と熊谷って結構遠かったんですよね」と照れ笑いする。
競技経験者が多い環境の中、基礎から必死に学んだ。7人制ラグビーは15人制と同じスペースを少人数で守り、走り続ける競技である。瞬時の判断力、スピード、そして接点での強さが求められる。スピードとパワーは陸上競技から、持久力や瞬時の判断はバスケットからと、これまでのスポーツの経験が生かされ、めきめきと頭角を現していった。
大学2年生からは熊谷に住まいを移し、ラグビー漬けの生活に。大学での授業と競技の両立に追われつつも、教員免許取得に向けた学びはしっかり続けた。小学校での教育実習では2年生を担当。「子どもたちがかわいくて、かわいくて。ただ一緒に遊んでいた記憶ばかりが残っています」とほほえむ。文教大学での4年間はあっという間に過ぎ去った。だが勉強とラグビーの二足の草鞋(わらじ)の生活は、人としての強い土台を築けた時間でもあった。
大学4年生の時に全十字靭帯を損傷する大ケガを経験。「1年以上プレーできず大変でした。この後、プレーできるのか不安な気持ちに襲われることもありました」という。それでも辞めることは考えなかった。まだまだラグビーに魅了されていたからだ。
所属先のクラブチームのヘッドコーチが北海道のチームに移籍し、三枝さんに声をかけてくれたことがきっかけとなって、大学卒業後は北海道へ。男子ラグビーチームも持つ「北海道バーバリアンズ」の女子チーム「ディアナ」に所属することに。北海道での生活は「冬が半年間くらいあることにびっくりした」と苦笑いするほど、予想よりも大変だった。それでも、その環境が選手としての成長につながった。
冬は屋外グラウンドが使えず、室内トレーニング中心になる。だが、その時間が体の強化につながり、接点で負けないプレーを磨くきっかけになった。167センチ、68キロの体格を生かしたパワフルな突破は、彼女自身の大きな武器となっていく。
2021年から、日本代表に招集されるようになった。「毎回コンスタントに呼ばれるわけではないんですけれど、でもずっと代表を目指していたので、代表合宿に招集されるのはすごくうれしかったです」と目を輝かせる。
2023年のパリオリンピックアジア予選では、カザフスタン戦で先制トライを決めるなど、オリンピック出場権獲得に貢献。そして2024年、ついにパリオリンピックの日本代表入りを果たす。パリでは世界の強豪と対戦。過去最高となる9位という成績を収めた。「世界で戦う」という経験は、三枝さんに新たな課題と可能性を与えた。
現在も所属する北海道バーバリアンズ・ディアナで競技を続けながら、さらなる成長を目指す。高校の体育で偶然出会ったラグビーは、人生を大きく変えた。仲間と出会い、世界の舞台にまでたどり着いた三枝さん。その歩みは、“好き”という純粋な気持ちが、人をどこまでも成長させることを教えてくれる。


ハイレベルなラグビーパフォーマンスを追求
ラグビーを中核にする総合型スポーツクラブ。クラブ日本一を目指す男子チームだけでなく、女子ラグビー7人制チーム、愛称「ディアナ」も有する。日本代表プレーヤーや外国人留学生などが在籍し、ハイレベルなラグビーで国内の大会はもちろん、国際大会にも数多く参戦する。


