
もともと広告デザインの仕事に興味があり、学んだことが仕事に生かせるという期待を持って情報学部メディア表現学科に入学した森田愛美香さん。ところが入学年の2021年は、新型コロナウイルス感染症による感染者拡大のまっただ中。授業はオンラインで行われ、当然キャンパスに来ることもなく友人と会うこともない。パソコンの画面を通じて授業を聞いていても「YouTubeで勉強しているようで、大学に入った意味があるのかな……」といった言葉が頭をよぎり、出された課題をこなすだけの空疎な1年を過ごした。
2年生からは対面の授業が復活。これまでの時間を取り返すように、授業に積極的になったであろうことは想像に難くない。授業を聞いていてもこれまでとは理解の深さが違う。単位さえ取れればよいと思っていたのが、もっと上を目指すようになっていた。
「先生や友人たちの影響もあったと思いますし、1人暮らしを始めて、誰でもない自分でやらなければ人生は進んでいかないことに気づいたんです」
ゼミナールは「藤掛正邦先生の研究室」と、入学当初から決めていた。藤掛先生は大手広告代理店の出身で、グラフィックデザインソフトを使ってイラストやキャラクターの作成、冊子のデザイン制作など実践的な授業を行っている。特に地域との連携、社会貢献をコンセプトに活動しており、森田さんは茅ヶ崎市にある認定こども園「聖鳩(みはと)幼稚園」のロゴの作成、熱海市のMOA美術館のパンフレットのデザイン制作を行った。また、冊子版『あやなり-Bunkyo Pride-』の「あやなりBP表紙絵作品募集」に応募したのもゼミの課題の一環だった。
「あやなりの表紙は大学の公式マスコットキャラクターBUNKOを使い、文教大学学園の理念である人間愛をレインボーのハートで表現しました。まさか最優秀賞をいただき採用されるとは……、思ってもみなかったことで光栄です!」
BUNKOが抱えたハートの中に描かれているのは、湘南の海や山、茅ヶ崎の花火。湘南キャンパスで過ごした忘れがたい日々を思い出してこのように表現した。自分がイメージしたことをグラフィックの世界にどう落としこんでいくか。それをイチから考え、形にしていくことがイラストやデザインに取り組むおもしろさだと森田さんは言う。
将来は希望通り、広告関係の会社から内定をもらっている。「バリバリ働いて広告業界で活躍したい」と力強く語ってくれた。