
「すごい!」と驚かない人がいるだろうか。国内最大級の英語検定試験の一つである英検®︎。そのスピーキングの準1級を小学5年生が持っているとは……。ちなみに準1級の難易度は、大学受験の偏差値60程度といわれている。
帰国子女かと思いきや、佐藤和奏さんは日本生まれの日本育ち。2歳からインターナショナルスクールの幼稚園へ通い、英語が身近にある環境に育った。そのまま上の学級に進んでもよかったのだが「日本語もしっかり勉強した方がよい」とのご両親の判断のもと、文教大学付属小学校に入学し、入学後も英検対策ができる塾に通うなど英語の勉強を続けてきたのである。
英語の魅力を和奏さんに問うと「かっこいいなと思う」と笑顔がこぼれた。ディズニーなどの外国映画も英語で鑑賞するが、日本語にはない表現やジェスチャーに憧れると言う。また自分自身、日本語を話す時と英語を話す時では、違った気分を味わえるとうれしそうに話してくれた。
「国連を支える世界こども未来会議」は、SDGsの最終目標である2030年以降の世界がどんな世界であってほしいかなど、世界の子どもたちが平和で豊かな世界について考え、発信していこうというものである。この会議は2021年に始まり、和奏さんは2023年の第3回に幼稚園からの親友に誘われ、「おもしろそう!」と参加。親友とともに日本代表キッズアンバサダー3人のうちの1人に選ばれ、ニューヨークの国連本部で「平和実現に向けたアイデア」を英語で提言した。
「世界の平和のためには、なにが必要だと思いますか。私はフレンドシップという言葉を選び、提案しました。フレンドシップは“友情”と訳されますが、そこに含まれる意味はそれだけではありません。友達を信頼すること、人と楽しくコミュニケーションすること、親切にすることなど、大事なものがたくさん詰まった言葉です」
フレンドシップの心が愛や信頼を育て、人と人が仲よく手をつなげば世界は平和になる。そうした思いを3分間のスピーチに込めた。これまでに経験したことがないほど緊張したが、自分の思いはしっかりと伝えることができた。
この体験をきっかけに世界の平和について、あらためて考えるようになった。「将来はできれば国連に勤め、平和のために働く仕事に就きたい」。フレンドシップの心を世界に発信してくれることを願う。