あやなりBP

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2025年7月掲載
藤掛 裕美 さん

藤掛 裕美 さん

(文教大学国際学部国際学科/1995年卒業)

“普通の人”の感覚を大切にデザインする

 学園創立100周年を迎える記念ロゴマークの募集事業で、最優秀賞を獲得したのが、藤掛裕美さんの作品だ。スマートで爽やかな印象のロゴマークは、どのようなコンセプトで作成されたのだろう。
「テーマは『キラキラ』です。キラキラした学生たち、教職員の方々も学校自体もキラキラしている、まずはそんなイメージがありました。そして次の100年に向けてもキラキラ進んでいってほしいという願いも込めています。ですからデザインに星を入れています。100の一番右の0の輪っかとその上にある星がキラキラ輝く指輪にも見えるようにデザインしました。またこの星には「プラス」の意味もあって、学生さんたちがたくさん経験を積み重ね、経験をプラスしていくことで、将来星のように、また指輪のように輝いてほしいという思いも込めています」
 藤掛さんは、総合広告代理店に勤務するグラフィックデザイナー。常日頃からこのようなしっかりとしたコンセプトワークのもとデザインを考え、多くのコンペで作品が採用されてきた。これまで大手保険会社や大手ホテルなど、名だたる企業のロゴやポスター、パンフレット類などを作成。クライアントからの信頼を得ている。
「企業のロゴマークをつくる時などは、大手の広告代理店などが参加するコンペで競うことになります。大きな代理店に所属するデザイナーさんは美大出身の優秀なデザイナーさんが多く、そんな中で小さな代理店にいる私のつくったものが選ばれるというのは、とても嬉しく自信にもつながりました」
 広告の世界には美大出身者や美術を専門に学んだような人が多く、賞歴がある人も多数いる。だが藤掛さんはむしろ“普通の人である”ということを強みにする。
「選ぶ側の人たちは一般の感覚を持った普通の人たちが多いわけですから、自分の『普通』なものの見方や感覚でつくれば、クライアントの心に響くと思っています」
 プロ中のプロである藤掛さんが100周年のロゴマーク募集にあたり最優秀賞を獲得したのは、当然の流れだったとも言えそうだ。
「周囲からは『プロが本気出してー。学生さんに賞を譲ってあげなさいよ」と茶化されましたが、私には私の応募の理由がありました。出身が石川県で、2024年に起きた能登の震災で実家も被災したのです。私がここで何らかの賞をいただけたら、両親が喜んで元気になるんじゃないかと、そんな気持ちがありました。結果、本当に喜んでもらえたので良かったと思っています」

国際学部出身だったからこそ、今の自分がある

国際学部を卒業してデザイナーになるという道は、おそらくメジャーなコースではない。では藤掛さんはどのような紆余曲折を経て、このような選択をしたのだろう。
藤掛さんが国際学部を卒業して就職した先は、語学の教材を扱う出版社。その広報部に所属して、新刊の案内や広告づくりに関わり、デザイナーと打ち合わせて広報物を作成する、現在の立場とは逆の、依頼者側として広告に携わっていた。
「担当デザイナーさんがMacでデザインするのを見て、かっこいいなー、自分もこういうふうにやってみたいなと思いました。自分だったらもっとああしたい、こうしたい、という気持ちを抑えられなくなり、自分でデザインする道へ進むことに決めました」
退職してスクールでスキルを身につけ、グラフィックデザイナーとなり、現在所属する会社に入社して今に至る。
「今思えば、国際学部を卒業していたから語学系の出版社に採用していただけたのだと思っています。上京して、兄と妹と3人で埼玉県で暮らしていたので、湘南キャンパスまで通学に2時間半もかかり、大学で友だちとゆっくり過ごすことはほとんどありませんでしたが、国際学部を出ていなければ、今の私はここにいなかったと思っています。今の仕事に就くきっかけを与えていただけたことに感謝しています」
自分の気持ちに正直に、そして前向きに。藤掛さんはこれからも、多くの人が身近に感じるようなデザインで、共感を呼ぶ仕事を続けていく。

    • profile
    • 藤掛 裕美 さん
    • ふじかけ ゆみ
    • 株式会社ウィルコミュニケーションズ グラフィックデザイナー
      文教大学国際学部国際学科 1995年卒業
  • 藤掛 裕美 さん