あやなりBP

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2020年8月掲載
藤田 融 さん

藤田 融 さん

(文教大学付属幼稚園(越谷幼稚園)/1977年卒園)

患者さん、地域の人たちのトータルな健康を考える

 藤田さんは文教大学付属幼稚園(越谷幼稚園)の卒園生である。小学校は地元の公立校へ進むが、幼稚園のあった越谷キャンパスは変わらず身近な存在だった。
 「小学校の写生では元荒川やキャンパス周辺を歩きましたし、大学の文化祭にも遊びに行きました。これ、本当はいけないと思うのだけど、大学の受験勉強も大学の図書館で(笑)。大学生の気分を味わって、勉強ははかどりましたね」
 盛岡にある大学の歯科部に進学。在学中に院長であった父親が亡くなり、それをきっかけに、自分は将来どんな在り方を目指していくのか真剣に考えた。治療することが主流の時代であったが、予防に重点をおいた歯科医療こそ「人から喜ばれる」ものではないかと考える。
 「むし歯を治療するよりも、むし歯にさせない方が自分も相手も幸せではないかと思ったんです」

イベントやワークショップでつながる空間を

 むし歯や歯周病を予防して高齢になっても自分の歯で噛むという予防医療を進めながら、藤田さんが最終的に目指すのはからだ全体の健康だ。では、健康であるために人には何が必要か。社会との関わりやその役目を果たすというソーシャルヘルスという尺度がその一つというのです。社会的健康度の高い人こそ活きいきと元気であることに注目し、地域や人と“つながっている”という感覚を持てることが健康で幸せに生きるために大切ではないかと言う。
 そうした藤田さんの考えを具現化したものの一つが、医院と壁一枚隔てた場所にあるカフェ「リエゾンライブラリー&カフェ」だ。リエゾンとは、フランス語で「つながる」の意味。ここはサードウェーブコーヒーを飲んでくつろげるカフェであるとともに、「まちライブラリー」という参加者が持ち寄った図書を紹介するイベントのほか、「赤ちゃんの歯ブラシの仕方」や「離乳食の指導」など診療形式ではないワークショップなども行う。地域の人と人、人と情報、人と医療をつなげる場所として、まちに溶け込んでいる。

    • profile
    • 藤田 融 さん
    • ふじた とおる
    • 藤田歯科医院院長
      文教大学付属幼稚園(越谷幼稚園) 1977年卒園
  • 藤田 融 さん