あやなりBP

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2021年8月掲載
きど ふみか さん

きど ふみか さん

(文教大学教育学部心理教育課程/2011年卒業)

自分がしたいことは?本当の気持ちに気づく

 文教大学教育学部心理教育課程の授業で、絵本を見る機会が頻繁にあった。幼稚園実習で絵本に触れたり、実習のために絵を描いたり工作したり、絵本を自分でつくってみたり…。それが「私は絵が、そして絵を描くことがこんなにも好きだった」という気づきにつながる。絵を描くことは趣味だと思っていたが、仕事にすることもできるかもしれない。幼稚園の先生になるという、きどふみかさんの人生の設計図の修正がここから少しずつ始まった。
 「絵を描くことを仕事として意識するようになってからは、作家落合恵子さんが経営する絵本書の専門店『クレヨンハウス』によく行きました。また雑誌のイラストなどを見て、『いつかは自分も……』と夢を膨らませる日々でしたね」
 4年次には、イラスト専門のスクール「パレットクラブ」に通う。そんな折、友人の母親が出版関係の仕事をしているというので絵を見てもらった。
 「ダメ出しの嵐でした(笑)。もっと勉強しなさいと言われ、卒業後は桑沢デザイン研究所の夜間部に入学しました」

人とのつながりから人生が動き出す

 桑沢デザイン研究所の夜間部に通いながら、昼間はプロのイラストレーターのアシスタントとして経験を積んだ。卒業後もイラストレーターのアシスタントを続けながら、さらに編集プロダクションでアルバイトを行い実務的なことを学びながら生活をつないだ。その間、「もしイラストレーターになれなかったら」「絵の仕事で食べていくことができなかったら」という不安はなかったのだろうか。
 「不思議と不安はなかったんです。もしダメだったら他の仕事に就けばいい。それくらいに思っていました。イラストレーターという仕事を知った今の方が、当時に戻ったとしたら不安でいっぱいになるかもしれません。若くて怖いもの知らず、でしたね」
 アシスタントの仕事を辞めることになり、それをきっかけに独立することを決める。地道な営業活動やSNSの活用に取り組み、少しずつ「きどふみか」を知ってもらい、受注につなげてきた。ひとつの仕事が次につながり、さらに新しい仕事へと広がっていき、現在は締め切りに追われる毎日だ。
 ここまでの道のりを振り返ってみると、自分が何をしたいのか、何を目指しているのか意思表示すること。そして、それを人に話してみることは「すごく大事なこと」だと言う。
 「友人にイラストレーターになりたいと話したところから、それに応えてくれる人がいて、人生が大きく動き始めました。最初に絵を見てくださった友人のお母様はその後、独り立ちした時に実用書の挿絵の仕事を依頼してくださったんですよ。そうしたご縁に支えられ、多くの人に助けられて、ここまで来たという気がしています」

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      文教大学教育学部心理教育課程 2011年卒業
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