あやなりBP

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2016年7月掲載
中島 早苗 さん

中島 早苗 さん

(文教大学付属高等学校/1996年卒業)

勝ち負け、競争ではない運動の意味を研究し、教育の現場で伝える

「運動とストレスの関わり」について研究

 ストレス解消には運動がよい。一般的に言われていることであるが、実際のところどうなのだろうか? 中島早苗さんは日本体育大学の大学院において、「運動とストレスとの関わり」について研究してきた。運動不足モデルと運動習慣のあるモデルを作り、それぞれにストレスをかける実験を行い、結果を数値化して検証するというものだ。
 「ストレスによって、記憶力と脳の神経細胞はどう変化するのか。そこに運動という働きかけをすると、どう変わるのかを検証してきました。結果は、ストレスによって記憶力は低下しますが、運動習慣のあるモデルではそれが改善され、さらに脳の神経細胞も増えていました」
 小さい頃から体を動かすのが好きで、自身、運動できない期間があると心身にストレスを感じていた。そこには何らかの負の効果があるのかどうか疑問に感じていたが、実際に影響があることが立証されると同時に、運動の意味を再発見したと言う。

独自のプログラムで学生に楽しい運動体験を

 修士、博士課程を経て、2011年に共立女子短期大学の講師に着任。2014年からは准教授として体育を教えている。中学時代は剣道、高校時代はサッカー、大学時代はラグビーという多彩なスポーツ経験を活かし、学生たちにこれまで経験したことのないスポーツや運動を体験させたいというのが、指導の柱のひとつだ。昨年は2泊3日で行う、スキーとスノーボードの授業を立ち上げた。
 「教えることは楽しいですね。大学・大学院と9年間学生をやっていたので、学生たちの気持ちはよくわかります(笑)。学生たちも話しやすいのでしょう。相談にくる子もいますよ」
 高等学校で非常勤講師を経験したこともあり、高校の体育教員を希望していたが、研究から離れるのを物足りなく感じ、教育と研究を両立できる大学教員の道へ進んだ。学生の前に立ってみれば、実際には高校も大学もあまり変わりはなく、自分の采配で教育内容を決められるところが自分にあっていると感じている。
 「高等学校の場合は学習指導要領が決まっていて、『自分だったらこうするのに…』という部分がありました。いまは自分でプログラムを組んでできるところがおもしろいですね」
 授業では、運動を苦手だと思っている学生の意識を変えたいという気持ちがいつもある。勝ち負けや競争ではない、本来の運動の意味を伝え、運動の楽しさや効果を知ってほしい。中島さんの試みは続いていく。

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    • 中島 早苗 さん
    • なかじま・さなえ
    • 共立女子短期大学准教授
      文教大学付属高等学校 1996年卒業
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