あやなりBP

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2019年7月掲載
コナガイ 香 さん

コナガイ 香 さん

(文教大学付属高等学校/2007年卒業)

表現として絵を描くことを意識した高校の授業

 コナガイ香さんはフリーで活躍するイラストレーターだ。雑誌や書籍の挿絵、化粧品や食品メーカーの商品カタログのカット、パッケージのイラストなど、フリーランスで幅広い仕事をこなす。中学から文教大学の付属校に通っていたお姉さんを見て、高校は同じ付属校を選んだ。
 「1年生のクラスがとても良くて、今も続いている友だちはその時のメンバーです。担任だった神戸航先生はイラストレーターになったことを報告すると、ご自分の名刺のデザインを頼んでくださり、付属中学校・高等学校の学校案内の小冊子にイラストを描く仕事も依頼してくださいました」
 子どもの頃から絵を描くのが好きだった。絵を描くのは日常のこと。ご飯を食べたり、お風呂に入ったりするように、絵を描くことが日々の生活の中にあった。それが少し特別、つまり表現するものとして意識するようになったのは、友だちに誘われて選択したデザインの授業だった。
 「絵を描くことは日常だったので、勉強しようとは思っていなかったんですね」先生は、現在都内で「LUKA NOSE」という絵画教室を開く三杉レンジさん。「離婚しちゃったんだよー」と生徒に報告するオープンな先生で、授業は「喰う」というテーマで絵を描いたり、自分ブランドの商品をデザインしたり。現在の仕事に通じる“人に請われて絵を描くこと”を覚えたのも、この授業がきっかけだった。

見た人がさまざまなイメージをふくらませる絵を描きたい

 そんなコナガイさんだったが、大学進学は写真学科を選んだ。
 「モノクロ写真を印画紙に焼き付ける暗室作業はすごく楽しかったですね。現像液の中で撮った映像が浮かび上がり、モノクロの濃淡などを見ながら自分のイメージの写真に仕上がるようプリントしていく。絵を描く感覚に似ていたかもしれません」フィルム代、現像液代、印画紙代など、写真はお金がかかる。せっせとアルバイトをして材料費に注ぎ込んだが、あるライブペイントで大きな絵を描いたことが、「やはり絵を描きたい」という思いに火をつけた。そうなると行動は早い。
 「大学は1年半で中退し、本づくりを学びたくて編集プロダクションに入りました。そこでイラストレーターという仕事の流れを覚え、書店員なども経験し現在に至るという感じです。もともと誰かと何かをするというのが苦手な性格なんです。一人でできるイラストの仕事は、自分にあっていたとつくづく思いますね」
 イラストの仕事は注文に応じて絵を描くことだが、注文の範囲で自分の描きたい絵に少しでも近づける。そうした努力の積み重ねの中で自由にやらせてもらえる仕事も増えてきた。「かわいい絵、とよくいわれるのですが、絵の中にその先を見てもらえたらうれしいです。想像を広げてもらうというのかな」
 見た人のイメージがふくらむ絵、そのためには何が必要か。「とにかく毎日描き続けること」と、コナガイさんは微笑む。

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    • コナガイ 香 さん
    • こながい かおる
    • イラストレーター
      文教大学付属高等学校 2007年卒業
  • コナガイ 香 さん