国際学部の学生たちが運営する子ども食堂の名前は「ぶんこ食堂」。文教大学の公式マスコットキャラクター「BUNKO」から名づけられた。代表の内田イオナさんが同級生の二宮敏枝さんに声をかけ、3年生だった2021年から、地域で子どもの居場所づくりや食事の提供を行う団体に出向き、運営のノウハウを学ぶなどの準備を進め2021年12月に 活動をスタートした。
きっかけはコロナ禍によって家計が急変し、1日3食、食べることができない子どもたちがいるというニュースだった。大学周辺には子ども食堂がなかったことから、立ち上げを決意。当初の計画では、食事の提供と学習支援を行う子ども食堂だったが、コロナウイルスの感染拡大によって実施が難しくなり、お弁当の提供に切り替えた。
「2021年12月に第1回目の活動を行いました。子どもは無料、高校生以上は100円として30食用意しましたが、5回目からは40食に増やしました。事前に食券を配布するのですが、毎回多くの人が並んで待ってくださっています。お弁当を渡した時の子どもたちの笑顔を見るのが、本当にうれしいですね」(内田さん)
塩分を控えめにしたり、子どもの喜ぶレシピを考えたりするなど、お弁当の内容にも心を配る。地域の人に笑顔を届けることができているという手応えが、活動の原動力になっている。
現在活動するメンバーは10人。内田さん、二宮さんの話を聞いて「協力したい」「子ども食堂に興味があった」など参加理由はさまざまだが、メンバーの多くが「本当に形になったことに感動した」と話す。レシピづくり、食材の調達、チラシやSNSによる広報活動、調理など、やることは多岐にわたるが、それぞれがゆるやかに役割を担いながら手探りの中で取り組んできた。
「ゼミの渡邉曉子先生、地域の支援団体の皆さんのご協力があって、こうした形にすることができました。今後は、当初考えていた学習支援について実現につなげたいと考えています。宿題を一緒に行うなどの関わりの中で子どもたちの状況を把握し、できることをしていきたいです」(内田さん)
お弁当にアンケートを同封すると、障がいのある子どもを持つ親御さんから「子どもの学習をどうすればよいかわからない」という書き込みがあるなど、子育てで悩みを抱えている人がいることがわかった。こうした問題の解決点を見出すなど、地域の問題を自分ごととして考え取り組んでいきたいと、内田さんは話す。
内田さん以外のメンバーにも、活動を通して得られたことやこれからの目標について聞いた。
【国際学部国際理解学科4年 阿部 敬太さん】
「料理を作るのが好きなので、こうした形で役に立ったのがうれしいです。学内だけでは知ることのできない人、地域の問題に関わることができたことに感謝しています」
【国際学部国際理解学科4年 二宮 敏枝さん】
「子どもたちと顔を合わせ、お弁当を『おいしい』といってもらえると、やってよかったと心から思います。この活動が支援を必要としている人に届くよう活動を続けていきます」
【国際学部国際理解学科4年 樋山 莉佳子さん】
「多くの方との出会いがありました。特に地域で活動している方たちの姿に触れ、将来は支援を必要としている人と地域をつなげる仕事に就きたいと思っています」
【国際学部国際理解学科3年 相田 悠良里さん】
「子ども食堂は自分もやってみたいと思っていました。子どもにお弁当を手渡しする時が、この活動のやりがいを実感する時です」
【国際学部国際理解学科2年 玉城 恵斗さん】
「ボランティアに興味があって文教大学に進学しました。学生が主体となって取り組むこの活動に参加し、入学前に想像した以上の経験ができました」
【国際学部国際理解学科2年 登坂 みのりさん】
「子ども食堂の活動から、食料の問題に関心を持つようになりました。日本の自給率、農家の高齢化の問題など、これからも考えていきたいと思っています」