スッと伸びた姿勢に、柔らかな笑顔。長年、日本を代表するホテルで研鑽を積んできたことがわかる穏やかな物腰。沖田翔さんはこれまで、帝国ホテルを支える営業や人事などの業務をメインに歩んできた。
そんな沖田さんが初めて帝国ホテルに宿泊したのは高校生のときのこと。部屋に案内された後、閉じられたドアの覗き穴から何気なく外を見ると、ベルマンがドアに向かって深々とおじぎをしていた。
「誰も見ていないところでもサービスや心配りができる、おもてなしの心に驚かされ、心に残りました」
就職活動では、多くの人を楽しませるような場所づくりに関わることがしたいと考えていたため、当然、ホテルを視野に。そして印象深かった帝国ホテルに就職することを決めた。就職後も憧れていた帝国ホテルのイメージが変わることはなかった。それは働くすべての人が、帝国ホテルを愛し、その名に恥じぬようにとプライドを持って働いているからにほかならない。
「ホテルは、お客さまから見ればとても華やかな場所です。しかしスタッフにとっては決してきらびやかではありません。お客さまに喜んでいただけるように万全の準備をします。お客さまがお帰りになる際に『ありがとう』と声を掛けてくださったときには、私自身も嬉しい気持ちになります」
幼稚園時代のことはうろ覚えですが、確実に言えるのは、毎日幼稚園に行くのが楽しみだった、ということ。
「園庭が広くて、ありんこ先生が指導してくれる体操をするのがとても好きだったことを覚えています。年中のときに担任だった水品佳代子先生がとてもエネルギッシュで、明るく引っ張ってくれたことも大きいですね」
仕事は大変なことも多いが、何でもポジティブに考えるようにしている。
「明るく、前向きに物事に当たることを教えてくれたのは、もしかしたら幼稚園だったのかもしれない」と振り返る沖田さん。
「何か目標があったり、挑戦したいことがあるとき、『無理だ』と諦めたらそこで終わってしまいますよね。チャレンジした結果が、例え失敗したとしても、それを次に生かすことができる。挑戦することに臆病になってはいけないなと思っています」
今年、沖田さんは提携している海外のホテルに赴任する。
「実は英語に関してはやや不安なこともありますが、これまで経験したことのないことができるのはチャンスだと捉えています。赴任を心から楽しみにしております」
帝国ホテル 東京は、2024年から2036年にかけて建て替えを行い、新本館の完成は2036年を予定している。スタッフの一人として沖田さんも成長を続けていく。