2020年8月掲載
人間が生きていく上で避けられない病気や老化。これらはどうして起こるのか?それが、私が「抗酸化」に取り組むようになった理由です。病気や老化はすべて「酸化」から起こるんですね。酸化はよく「サビ」に喩えられますが、その酸化を防ぐのが抗酸化です。「抗酸化作用」は私たちの体に本来備わっているものですが、加齢とともにその作用が衰えてくる。それを食品という外的なもので補えないか、というのが大きな枠での研究テーマです。人々の健康や美容に直結してくるテーマですので、みなさんも興味があるでしょう?(笑)退職後の今も学生たちとともに企業の商品開発に取り組んでいますので、ラベルに文教大学の名が入った商品が市場に並ぶのも、そう遠くない未来だと思います。
私のゼミでは当然「抗酸化」について研究するわけですが、一番大変なのは抗酸化の「何を研究するか」テーマを決めることでした。そのために行うのが、これまでに発表された研究論文の輪読会です。論文は英文で書かれたものも取り上げますが、読んでこなければゼミに参加できないので、学生は回数を重ねるごとに読む力をつけていきます。また、輪読会では発言しないのもだめ。必ず何か意見を述べることを課すると、1年も経てば能動的に考える力をつけていきました。高いハードルを与えることで、学生はそれを乗り越える力を必ずつけていく。それを間近で見ることができた教員人生でした。